位置決めピンとは

位置決めピンとは


位置決めピンとは?

位置決めピンとは、ジグやワークを所定の位置へ正確に繰り返し配置する場合や、外部から加わる負荷に対して位置を保持するために使用される部品です。
ジグや金型、自動化設備、組み立て装置など、位置決めが求められるさまざまな場面で使用されています。

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ワークの位置決めに

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金型の位置決めに


例えば、加工用のジグにワークをセットする際、毎回同じ位置に配置できなければ寸法不良や加工精度の低下につながります。
また、組み立て工程では部品同士の位置ずれによって品質不良が発生することもあります。
位置決めピンは、このような問題を防ぎ、安定した生産と品質確保を支える重要な役割を担っています。

位置決めの基本原則

位置決めピンを適切に使用するためには、位置決めの基本原則を理解することが重要です。
単に「ピンを取り付ければ高精度な位置決めができる」わけではありません。
ワークの動きをどのように規制するかを考慮して設計する必要があります。
特にジグや自動化設備では、位置決めの自由度や熱膨張の影響を理解していないと以下のようなトラブルの原因になります。

  • ワークが入らない
  • 組み立てができない
  • 精度が安定しない


ここでは、位置決め設計の基本となる「自由度」「3-2-1の法則」「1本基準・1本逃がし」の考え方について解説します。

位置決めの自由度とは

物体は空間内で自由に動くことができます。この動きを「自由度」と呼びます。
一般的に、ワークには以下の6つの自由度があります。

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自由度 示している位置
X方向移動 左右への移動
Y方向移動 前後への移動
Z方向移動 上下への移動
X軸回転 前後方向を軸とした回転
Y軸回転 左右方向を軸とした回転
Z軸回転 上下方向を軸とした回転


位置決めとは、これらの自由度を必要な範囲で拘束し、ワークを所定の位置に配置することです。
マシニング加工用ジグの場合、ワークを所定の位置に要求精度に位置決めすることです。
そのため、不要な自由度を制限しながら、必要な位置精度を確保する設計が求められます。
ただし、自由度を過剰に拘束すると、部品精度の多少のばらつきや熱膨張によって組み付けが困難になる場合があります。
そのため、適切な自由度の管理が重要です。

3-2-1の法則

位置決め設計の基本として広く用いられているのが「3-2-1の法則」です。
これは、ワークの「垂直」「水平・回転」方向を効率よく拘束するための考え方で、以下のように支持点を配置します。

Z軸方向 できるだけ大きな三角形にして3点で受ける
X軸方向 長手方向の側面をできるだけ広く2点で受ける
Y軸方向 X方向の2点と結び三角形が大きくなるように短手方向の側面を1点受ける



3-2-1の法則は、加工ジグや測定ジグ、組み立てジグなどで広く採用されており、高精度かつ安定した位置決めを実現するための基本原則となっています。

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1本基準・1本逃がしの必要性

位置決めピンを使用する際は、「丸ピンを2本使用すれば精度が高くなる」と考えがちですが、実際にはトラブルの原因になることがあります。
例えば、2本とも真円の位置決めピンを使用した場合、ワーク側の穴ピッチ誤差や加工公差、熱膨張などによってピン同士の位置関係が合わなくなり、ワークが入らないことがあります。
そこで一般的に採用されるのが、以下の方法です。

  • 1本を基準ピン(丸ピン)
  • 1本を逃がしピン(ダイヤピン)


基準ピンはX方向・Y方向の位置を正確に決定し、逃がしピンは一方向のみ位置決めを行いながら、もう一方向にはわずかな逃げを持たせます。

これにより、

  • ワークの加工誤差
  • 穴ピッチ誤差
  • 温度変化による熱膨張
  • 組み付け時のばらつき


を吸収しながら、高い位置決め精度を維持できます。

特に大型ワークや高温環境で使用されるジグ・設備では、熱膨張の影響が大きくなるため、「1本基準・1本逃がし」は位置決め設計の基本として広く採用されています。
適切な位置決めピンの選定は、単に精度を高めるだけでなく、組み立て性やメンテナンス性の向上にもつながります。

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はめあいと位置決めピンの使用条件

位置決めピンは、ピンだけを選定すればよいわけではありません。
十分な位置決め精度を得るためには、ピンと相手穴の「はめあい」を適切に設計することが重要です。

すきまばめ

位置決めピンと穴の間にすきまがあり、位置決めピンが自由に抜き差しできる状態です。
組み立てや分解を繰り返し行う場合に適しています。

しまりばめ

位置決めピンが穴よりわずかに大きく、挿入時に力を必要とする状態です。
ピンを固定したいや場合、抜け防止が必要な場合に適しています。

中間ばめ

すきまばめとしまりばめの中間に位置するはめあいです。
適度な固定が必要な場合や、精度を保ちつつ外れにくい状態にしたい場合に適しています。

位置決めピンの種類と特長

位置決めピンにはさまざまな種類があり、求められる精度や使用環境、ワークの形状に応じて使い分けられています。
適切な位置決めピンを選定することで、高い位置決め精度を実現できるだけでなく、組み付け作業の効率化や設備の安定稼働にもつながります。
ここでは、代表的な位置決めピンの種類とそれぞれの特長について解説します。

ストレート

特長
  • ベースとワークの穴径が同じ場合に使用可能
  • 抜き差ししやすいように持ち手やタップなど作業性に考慮されている製品も多い
  • 市場に多く流通しているため安価・入手性が良い

段付き

特長
  • ベースとワークの径が違う場合に使用可能
  • ベース側がプラス公差の場合、圧入して固定が可能
  • ピンの位置を嵩上げできるフランジ付きの製品も多い

ラフガイド

特長
  • ワーク径に対して、位置決めピンの径が小さく、基準にガイドする役割を持っている
  • 位置関係を微調整できる機能や傷防止用に非金属材質の製品も多い
  • 作業性が向上し位置決め時間を短縮できる


位置決めピンの選定ポイント

位置決めピンは「精度が高いもの」を選べばよいわけではありません。
ワーク材質、使用環境、繰り返し回数、熱膨張、組付け性などを総合的に考慮して選定する必要があります。
ここでは、実務で確認されることの多い 材質・形状・ジグ設計上の注意点 の3つに分けて解説します。

材質で選定する際のポイント

位置決めピンの材質は、使用環境や求められる精度、耐久性によって選定します。
位置決めピンは繰り返しワークと接触するため、一般的には耐摩耗性の高い材料が使用されます。
一方で、ワーク保護やコストを優先する場合には、異なる材質が選択されることもあります。

代表的な材質の特長と用途は次の通りです。

材質 主な特長 主な用途
SUM(快削鋼) ・加工しやすい
・コストを抑えやすい
・特殊形状ピン
・軽荷重用途
・コスト重視のジグ
SK(炭素工具鋼) ・高硬度
・優れた耐摩耗性
・比較的コストを抑えやすい
・高頻度着脱ジグ
・摩耗が問題となる設備
・精密ジグ
SUJ(高炭素クロム軸受鋼)

・高硬度で摩耗に強い
・高精度な位置決めに適している
・繰り返し使用に強い

・比較的コストを抑えやすい

・加工ジグ
・組み立てジグ
・自動化設備
・金型
SCM(クロムモリブデン鋼) ・強度が高い
・衝撃荷重に強い
・大型ジグ
・搬送設備
・自動化設備
MCナイロン ・ワークを傷つけにくい
・軽量
・自己潤滑性を持つ
・アルミワーク
・樹脂ワーク
・外観品質が重要な部品
・傷防止ジグ

形状で選定する際のポイント

位置決めピンの形状を選定する際は、以下の観点で整理すると選びやすくなります。

高い位置決め精度を重視する場合

加工精度や組立精度を最優先する場合は、丸ピンとダイヤピンの組み合わせが適しています。
高精度な繰り返し位置決め精度を確保しつつ着脱性を高めた作業を実現します。

主な用途

  • 検査ジグ
  • 加工ジグ
  • 組み立てジグ


ワークをスムーズに挿入したい・着脱頻度が多い場合

テーパーピンやボールピンが適しています。
対象物をスムーズにピンに案内できるように挿入口の形状が工夫されていいます。
挿入性が極めて高く、スムーズに挿入できるため、ロボットによる段取り替え部や短時間での着脱が求められる現場に最適です。

主な用途

  • 頻繁なワーク交換を行うジグ
  • 自動搬送装置

ジグ設計時に気を付けるポイント

位置決めピンは、選定だけでなくジグへの取り付け方法や配置方法も重要です。
設計を誤ると、位置決め精度の低下やメンテナンス性の悪化につながる場合があります。

ワーク精度に配慮する

位置決めピンを2本使用する場合は、丸ピンとダイヤピンを組み合わせることが一般的です。
2本の丸ピンを使用すると、加工誤差や熱膨張によってワークが入らなくなる可能性があります。

メンテナンス性を考慮した取付方法を選ぶ

位置決めピンは長期間使用すると摩耗するため、交換方法も考慮して設計する必要があります。

上面取付タイプ

  • ボルト固定のため交換が容易
  • コンパクトな設計が可能



フランジ付きタイプ

  • ボルト固定のため交換が容易
  • ベースに堆積する切粉やワークが接触しにくい嵩上げ形状



拡張タイプ

  • 挿入後に径が拡縮するため、高精度な位置決めが可能


ナベヤの位置決めピンラインナップ

よくある課題ごとにおすすめのナベヤの位置決めピンをご紹介します。

安価に高精度な位置決めを実現したい

コストを抑えて高精度な位置決めを行いたい場合は、SUMやSK、SUJなどの材質の位置決めピンがおすすめです。

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スムーズにピンに挿入できるようにしたい

位置決め穴への挿入が難しい場合は、位置決め方式や先端形状を見直すことで改善できる場合があります。

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配置位置にスムーズに案内させたい・傷をつけたくない

アルミや樹脂などのワークでは、位置決め時の接触による傷が品質不良の原因になることがあります。

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ワークなどの嵩上げ位置と合わせて位置決めしたい

交換や保守の時間を短縮したい場合は、取付方法の選定も重要です。

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