防振パッド・プレートとは

防振パッド・プレートとは

防振パッド・プレートとは?

防振パッド・プレートとは、装置内のユニットやフレーム同士の接続部、工作機械や産業機械などの設備と床面の間に設置して、機械から発生する振動や床から設備へ伝わる振動を軽減する部材です。
振動による不良の削減・機能や精度の低下を低減する振動対策を目的として使用されます。
主に以下のような場所に使用されます。

  • 設備や装置のジャッキとフロアーの間

  • コンベアのローラフレームと架台の間

  • パーツフィーダ―の下

  • ポンプの下

  • 浮き基礎/縁切り


防振パッド・プレートの種類と特長

材質によって異なる用途や特性

防振パッド・プレートは、一般的に天然ゴム(NR)やイソプレンゴム(IR)等の材質で構成された丸や四角形状のものが多く使用されています。
用途や使用環境によっては、このようなゴムで取り切れない微細な振動も減衰が求められる場合も多く、さまざまな材質の防振パッド・プレートが普及しています。
以下ではナベヤで取り扱う防振パッド・プレートの材質をご紹介します。

  • エーテル系発泡ポリウレタン

    低周波な振動から減衰することができます。
    主にクリーン環境や研究室等で使用されます。

  • NBR(ニトリルゴム)

    主に加工工場等で使用されます。
    イソプレンゴム(IR)よりも耐久性に優れています。

  • イソプレンゴム(IR)

    一般的に流通が多い材質です。
    入手性に優れていますが、耐久性は高くありません。

特長

防振パッド・プレートは、防振部材として丸形や角形の形状で販売されているものが一般的です。
しかし、設置スペースや取付条件に合わせて加工されることも多く、形状を変更したり、取付用金具を接着したりすることで、製品の一部として幅広く利用されています。

防振パッドが組み込まれた締結ユニット例

防振パッド・プレートの選定ポイント

防振パッド・プレートは振動を減衰する特性をもっていますが、材質ごとに溶液や環境に対する耐久性も異なります。
また、加わる荷重によっても減衰できる振動周波数も変わります。
そのため、選定を行う際には以下ポイントを確認する必要があります。

材質の選定

「耐油性」「耐薬品性」「耐候性」など、使用環境によって最適な材質は異なり、材質選定は製品の耐久性・安全性を左右する重要な工程です。
それぞれの素材が持つ「耐水性」「耐油性」「耐候性」などの特性を理解し、使用環境に応じた最適な選定を行うことで、製品トラブルの未然防止とコスト削減の両立が可能になります。
ここでは、「エーテル系発泡ポリウレタン」「ニトリルゴム(NBR)」「イソプレンゴム(IR)」の材質特性を比較し、用途別の選定ポイントを分かりやすく解説しています。

材質特性の基礎知識

防振パッドの材質選定において重要となる特性項目について、それぞれの意味と必要とされる理由を解説します。
これらの特性は、それぞれ単独で評価するのではなく、使用環境に応じて複数の特性を組み合わせて検討することが重要です。

耐酸性 耐酸性とは、塩酸・硫酸・酢酸などの酸性物質に対して、素材が劣化・変質しにくい性質のことです。
酸性の洗浄剤や化学薬品を使用する工場、バッテリー関連設備、食品加工現場(酸性の調味料や洗剤)などでは、酸による素材の膨潤や強度低下が発生しやすくなります。
耐酸性が低いと素材が脆くなり、防振性能の低下や部品破損につながるため、使用環境に酸性物質が含まれる場合は必須の特性です。
耐アルカリ性 耐アルカリ性とは、水酸化ナトリウムやアンモニアなどのアルカリ性物質に対する耐久性のことです。
洗浄・殺菌工程でアルカリ性洗剤を使用する食品工場や医療関連設備、コンクリートに接触する建築用途では、アルカリによる加水分解や表面劣化のリスクがあります。
耐アルカリ性が不足すると素材の柔軟性が失われ、早期のクラックや破断を引き起こします。
耐油性 耐油性とは、潤滑油・切削油などの油分に対して、膨潤や溶解を起こしにくい性質のことです。
工作機械、発電機など油分に接触する機会が多い産業用途では、耐油性が低いと素材が膨張・軟化し、寸法変化や防振性能の低下を招きます。
油を扱う現場では最も重視すべき特性の一つです。
耐加水分解性 耐加水分解性とは、水分や湿気により素材が分解される「加水分解」に対する耐性のことです。
高湿度環境や屋外の雨風にさらされる用途では、加水分解が進むと素材がボロボロに崩れる「加水分解劣化」が発生します。
特に長期間の屋外使用や湿度の高い倉庫・工場では、この特性が製品寿命を大きく左右します。
耐オゾン性 耐オゾン性とは、大気中のオゾンによる酸化反応で発生する、素材表面のひび割れへの耐性のことです。
オゾンは紫外線や高電圧機器周辺で発生しやすく、ゴム系素材は特にオゾンに弱い性質を持ちます。
屋外設置や高圧設備周辺で使用する場合、耐オゾン性が低いと表面に細かい亀裂が生じ、防振性能や耐久性が低下します。
耐紫外線 耐紫外線とは、太陽光の紫外線に対するする耐久性のことです。
屋外に設置される看板、太陽光パネル、空調設備などは、常時紫外線を浴び続けます。
耐紫外線性が低いと素材の硬化・変色・強度低下が進み、防振材としての機能を失います。屋外用途では最重要視すべき特性です。
対候性 対候性とは、屋外環境における自然環境要因(温度、雨水、湿度、風雪などの)に対して、素材が劣化することなく性能を維持できる耐久性のことです。
特に屋外で使用する場合は、温度変化による収縮・膨張、雨水や結露による膨潤や劣化によって防振性能を発揮できない状態になるため非常に重要な選定基準となります。
耐生物学的耐久性 耐生物学的耐久性とは、カビ、細菌、藻類、菌類などの微生物や、ネズミ・虫といった生物による侵食・分解・損傷に対して、材料がその性能や形状を維持できる耐久性のことです。
微生物や生物による劣化・損傷により防振性能が低下するだけでなく、衛生上の問題や設備全体の信頼性低下につながる可能性があるため、
特に、高湿度環境、屋外、地下、食品工場、病院などで使用する場合、耐生物学的耐久性は選定の重要な判断基準となります。
クリープ特性 クリープ特性とは、一定の荷重を長期間かけ続けた際に、素材が徐々に永久変形(へたりや沈み込み)を起こしにくい性質のことです。
防振パッド・プレートは常に荷重を受け続ける用途が多いため、クリープ特性が低いと時間経過とともに厚みが減少し、防振性能が徐々に低下してしまいます。
特に重量機械の脚部など、長期間・大荷重がかかる用途では、この特性が製品寿命そのものを決定づける重要な指標となります。

材質別の特長と選定ポイント

実際の製品設計においては「どの材料がどのような用途に適しているのか」をより具体的に理解することが重要です。
エーテル系発泡ポリウレタン、ニトリルゴム(NBR)、イソプレンゴム(IR)の材質について、それぞれの特長を掘り下げるとともに具体的な用途例とともに解説していきます。

エーテル系発泡ポリウレタンの特徴と用途例

エーテル系発泡ポリウレタンは、耐加水分解性・耐油性・耐薬品性・耐オゾン性・耐紫外線性・クリープ特性の全て極めて優れた特性をもつ素材です。

用途例

屋外での長期使用が想定される製品

  • 室外機
  • コンプレッサ
  • 配電盤
  • 発電機
  • ポンプ
  • ソーラーパネルなど


油や薬品に触れる環境での使用

  • 切削油や潤滑油が飛散する工作機械やその付帯設備
  • 食用油や洗浄剤に触れる食品や薬品製造ラインなど


長期間の圧縮荷重がかかる場所

  • プレス機や大型製造装置など、常時大きな自重がかかる機械設置部分
  • 半導体製造装置や検査機器など、常時荷重がかかりながら高精度な振動絶縁が求められる設備


その他、紫外線劣化を防ぎたい部材として、屋外のサイネージ取り付け部、証明や監視カメラ、給水タンクや空調機器などにも利用されます。


ニトリルゴム(NBR)の特徴と用途例

ニトリルゴムは、耐酸性・耐油性・クリープ特性に優れた素材で、特に耐油性が求められる工業用途で広く採用されています。

用途例

屋内での長期使用・油が触れる環境での使用

  • 切削油や潤滑油が飛散する工作機械やその付帯設備
  • プレス機や大型製造装置など、常時大きな自重がかかる機械設置部分


長期間の圧縮荷重がかかる場所

  • 搬送コンベアのローラーと架台の締結部分
  • モータやギアボックスなどの駆動部を設置する締結部分


酸性の薬品などが触れる環境での使用

  • メッキ・表面処理設備の脚部
  • 化学薬品用ポンプのベース取付部
  • 食品・飲料ラインの脚部


イソプレンゴム(IR)の特徴と用途例

イソプレンゴムは、耐水性・耐酸性・耐アルカリ性・耐油性など全項目で突出した特性はないものの、天然ゴムに近い物性を持ち、汎用性の高さが魅力です。
コストパフォーマンスにも優れています。

用途例

特別な耐薬品性・耐候性を必要としない一般用途

  • 簡易梱包機や一般搬送コンベアの脚部や締結部分。


その他にも、軽量棚・ラックの防振・滑り止めや一般作業台の脚部等のコストを抑えつつ標準的な性能を確保したい場合にも利用されています。

サイズの選定

防振パッド・プレートを選ぶ際、多くの方が「材質」には注目する一方で、「サイズ」の選定については見落としがちです。
優れた材質を選定しても、サイズを選定するための条件が正確でなければ本来の防振性能を発揮できません。
防振パッド・プレートのサイズは、「パッド・プレートに加わる荷重」「求める減衰性能」から面積や幅・奥行・厚みが決定されサイズが明確になります。
ここでは、それぞれの要素がサイズにどのように影響するのか、具体的な選定ポイントを分かりやすく解説しています。

サイズ選定の基礎知識

防振パッド・プレートの選定において重要となる「防振パッド・プレートに加わる荷重」「求める減衰性能」の項目について、それぞれの意味と必要とされる理由を解説します。
これらを理解せずに選定すると、想定していた振動が減衰できない、共振によりかえって増幅するなど悪影響につながるためよく理解しておく必要があります。

防振パッド・プレートに加わる荷重 防振パッド・プレートに加わる荷重とは、防振パッドの上に設置される機器や構造物の自重によって、パッド・プレート表面にかかる力(面圧)のことです。
防振パッド・プレートは、荷重の大きさによって効果的に減衰できる周波数や減衰率が変わる特性を持っています。
そのため、選定時には必ず実際の荷重を確認し、その条件下で求める防振性能が発揮できるかを見極める必要があります。
求める減衰性能 求める減衰性能とは、対策したい周波数に対して現状の振動の大きさをどれだけ小さくしたいか(何倍にするか数値で)明確にすることです。
防振パッド・プレートは、対策したい周波数によって減衰できる倍率が異なります。
そのため、選定時には必ず「現状の対策したい周波数と振動の大きさ」を特定し、「対策完了基準とする振動の大きさ」を明確にしたうえで、その対策完了基準まで減衰できる性能をもつ防振パッドを選定する必要があります。

防振パッド・プレートサイズ選定の6つのポイント

実際の製品設計においては、荷重、対策周波数、現状と対策基準の振動の大きさ、パッドに求める減衰性能、設置可能範囲を明確にすることによってサイズが選定できるようになります。
ここでは、それぞれの項目で確認や抑えておくポイントを分かりやすく解説しています。

ポイント1:荷重を正確に算出する

防振パッド・プレートに加わる荷重を明確にする場合は、以下のように荷重変動有無も含めて確認する必要があります。
特に装置の脚部に設置する場合、重心位置が異なるとそれぞれの脚部に加わる荷重が変動しますので変動荷重の範囲を明確にしてください。

防振パッドに加わる荷重(面圧)が常に一定 稼働時に動きがなく、重量/重心の変化がない設備など
防振パッド・プレートに加わる荷重(面圧)に変化がある 対象物を投入する、スライドするなどによって、重量/重心が変動する。



ポイント2:現状の対策したい周波数と振動の大きさを特定する

振動障害が発生する、またはしている周波数(Hz)とそのときの振動の大きさ(加速度m/s2 or 速度m/s or 変位㎛)を特定、数値化します。
周波数の特定は振動を発している装置側の回転数などからも算出でき、不明な場合は振動測定機で計測することが可能です。
また、振動の大きさも振動測定機によって数値を得ることが可能です。
画像や測定機において変位量の数値のバラつきなどが明確であればその値を振動の大きさとして捉えても問題ありません。

ポイント3:対策完了基準とする振動の大きさを明確にする

振動の大きさをどこまで抑えれば合格とするか、いわゆる対策基準とする振動の大きさを数値で明確にします。
これらは測定機などのメーカーがもつ振動許容基準やISOの規格などによって決める場合が多いですが、各社で基準を設ける場合もあります。

ポイント4:求める減衰性能を明確にする

対策したい周波数と振動大きさ、対策完了基準の振動の大きさから、振動の大きさを何倍に減衰しなければならないかが明確になります。
いわゆる防振パッド・プレートに求める防振性能が導き出されることになります。

ポイント5:設置可能範囲を明確にする

防振パッド・プレートを設置する場所や取付条件から、設置可能範囲の幅、奥行、高さを明確にします。
防振パッド・プレートにはさまざまなサイズのバリエーションがあるため最適値、最大値、最小値を想定しておくと選定が後から容易になります。

ポイント6:防振パッドのサイズを明確にする

ここまでで明確になった条件は「荷重範囲」「対策したい周波数と振動の大きさ」「対策完了基準の振動の大きさ」「設置可能範囲」です。
この条件に基づいて防振パッドのスペック/特性から性能を満たすことを確認し、設置範囲に収まる寸法を選定したらサイズの選定が完了します。
スペック/特性の満たす/満たさないは特性グラフから読み解くことができます。
防振パッドの寸法はスペック表の幅、奥行き、厚みから選定いただけます。

あわせて読みたいお役立ち情報

ナベヤの防振パッド・プレートラインナップ

ナベヤでは、さまざまな使用環境に対応できるよう、特性の異なる材質をはじめ、荷重や取付条件に合わせて選べる豊富な形状・サイズ・許容荷重の製品を取り揃えています。

材質別特性比較表

選定のポイントで解説をした各材質の特長を踏まえ、実際の材料選定をより効率的に行うために、主要な特性項目を一覧化した比較表をご紹介します。
個別の解説では把握しづらい材質別の違いを一目で比較検討しやすく、用途に応じた最適な材料選びの判断材料としてご活用いただけます。
ぜひ本比較表を参考に設計要件に合致する材質をお選びください。

材質 エーテル系発泡ポリウレタン ニトリルゴム(NBR) イソプレンゴム(IR)
該当製品名 9936GSM.jpg 9925.jpg 9698NF.jpg
防振パッド シロマー
防振パッド シロダンプGSP
防振パッド シロディン
防振プレート B4/B0/B6
防振プレート B5/B50/B32
防振プレート B30/B30W/B13W

防振プレート(ノンフラットタイプ)

耐酸性
耐アルカリ性
耐油性
耐薬品性
耐加水分解性
耐オゾン性
耐紫外線(UV)と耐候性
生物学的耐久性
クリープ特性


形状・サイズ別バリエーション

材質ごとに、さまざまな形状・サイズの防振パッド・プレートをご用意しております。
製品ごとに、形状やサイズに応じた許容荷重が設定されており、設置スペースや設置面積、1枚あたりにかかる荷重をもとに、使用する製品を選定します。


材質 エーテル系発泡ポリウレタン ニトリルゴム(NBR) イソプレンゴム(IR)
該当製品名 9936GSM.jpg 9925.jpg 9698NF.jpg
防振パッド シロマー
防振パッド シロダンプGSP
防振パッド シロディン
防振プレート B4/B0/B6
防振プレート B5/B50/B32
防振プレート B30/B30W/B13W

防振プレート(ノンフラットタイプ)

サイズ 50×50~200×200 50×50~1000×500
φ50~φ300
50×50~148×148
許容荷重(N) 6~ 100~ 50~


振動のお悩みに合わせたサポートをご提供します

防振パッド・プレートの選定方法が分かっている場合と、振動対策そのものを検討したい場合では、必要なサポートは異なります。
ナベヤでは、お客様の状況に合わせて、製品選定から振動対策までサポートしています。

振動対策・導入支援

「どの防振材を選べばよいか分からない」「防振材だけで改善できるか判断できない」という場合は、お気軽にご相談ください。
設備の使用環境や振動の状況をお伺いし、お客様の課題に合わせた防振材や振動対策をご提案します。