後付けできる振動対策製品

後付けできる振動対策製品とは

機械や設備を設置した後に、振動が原因で加工不良や測定値のばらつきが発生することがあります。
これらは、購入・設置前に振動の悪影響を把握していないことが原因です。
事前に把握して対策をすれば、設置後も問題なく稼働できます。
しかし、人が認識できない微振動は想定されにくく、振動障害が発生した後に対策しなければならない場合も多くあります。

そこで今回は、後付けで簡単に振動対策ができる製品をご紹介します。
機械や設備の下に設置するだけで、振動の悪影響を抑える方法をご提案します。

機械・装置の足に合わせた振動対策

形状別 振動対策方法

機械・装置の脚元の形状ごとに対策方法が変わります。
ここでは、機械・装置の脚として多く採用されている「ジャッキ(アジャスタ)」「キャスター」「直置き(支持点なし)」の代表的な対策方法を記載します。

ジャッキ(アジャスタ)
もっとも多く採用されているジャッキ(アジャスタ)が付いた機械・装置への振動対策は防振ゴムが一般的に使用されます。
防振ゴムは装置の足の形状を選ばないため幅広く採用されています。


ただし振動対策の効果を得るためには、防振ゴム全体に荷重がかからないと効果が得られません。
そのため、防振ゴムとセットで分散板を使用されるケースもあります。
もし三次元測定機や半導体製造装置のような高精度が求められる設備に対して対策をされる場合は、コイルスプリングが組み込まれた対策品を使用します。

  • 分散板を使用する場合

  • コイルスプリング対策品


キャスター
移動を頻繁に行うキャスターが付いた装置への振動対策にも防振ゴムを使用するのが一般的です。
ただしジャッキ(アジャスタ)の対策とは違い、防振ゴムをただ設置するだけでは装置が動いてしまうため、キャスター止めもしくはホルダのようなキャスターが動かない形状のものを選ぶ必要があります。


直置き(支持点なし)
ジャッキ(アジャスタ)やキャスター等の支持点がない直置きをする装置に対しても防振ゴムは効果があります。
ただし、ジャッキ(アジャスタ)欄で記載したように、防振ゴム全体に荷重がかからないと除振・防振効果が得られないため、装置接触面の形状を確認し、場合によっては分散板を準備する必要があります。

防振材の種類

振動対策を行う際、使用される防振材は「防振ゴム」と「コイルスプリング」の大きく2つに分かれます。
それぞれのメリット・デメリットを把握し、環境にあった防振材を選定します。

防振ゴム

ゴムの特性を利用して振動を減衰します。

メリット デメリット

・装置の揺れの収束が早い

・サイズ・形状を自由に加工が可能

・ゴムの特性上、経年劣化により除振・防振性能が低下する


コイルスプリング

コイルスプリングはスプリングの特性を利用して振動を減衰します。

メリット デメリット

・防振ゴムと比べて除振・防振性能が高い

・ばねが柔らかいため装置が揺れやすい

ナベヤの製品ラインナップ

ジャッキ(アジャスタ)

防振材:防振ゴム
防振フットホルダ
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特長
・ジャッキ(アジャスタ)をホルダに設置することでズレ防止になります。
・鋳鉄による一体成型構造のホルダのため、約3,500kgfまでの荷重に耐えられます。
・防振材を面で圧縮するため、カタログ通りの性能を発揮することができます。

推奨機械・装置
・産業機械
・工作機械
防振フットホルダ(ステンレス金具)
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特長
・防錆に優れ、発塵・有機ガスが発生しにくいステンレス金具と加水分解しない防振材を使用しているためクリーン環境下でもお使いいただけます。
・最大:18,000kgfの高荷重を支えることができます。
・防振材を面で圧縮するため、カタログ通りの性能を発揮することができます。

推奨機械・装置
・レーザー光源装置
・半導体製造装置
・液晶露光装置
・その他クリーン環境下で使用される機械・装置


防振材:コイルスプリング
低床除振フットマウント
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特長
・Φ56mm、高さ31mmのコンパクト設計のため省スペースでの使用が可能。
・防振ゴムでは取り切れない低周波の振動に対しても減衰効果を発揮します。

推奨機械・装置
・顕微鏡
・表面粗さ計等
・その他卓上の精密検査機器
防振マウント(フット型・減衰バネ)
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特長
・製品全長が54mmと低いため、設備の下に簡単に設置することが可能です。
・設置後の高さが36.5mmのため、ジャッキの調整代を確保できます。
・障害振動に合わせて性能が可変できます。
・防振ゴムでは取り切れない低周波の振動に対しても減衰効果を発揮します。

推奨機械・装置
・半導体製造装置
・三次元測定機
・印字装置
・レーザー検査装置
・レーザー刻印機
・その他精密加工・測定が必要とされる機械・装置

直置き(支持点なし)

防振パッド・プレート
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特長
・約0.6kgf~100,000kgfまでと幅広い許容荷重範囲で除振・防振が可能です。
・防振パッドは通常の防振ゴムと比べてゴムの劣化による防振性能の低下がないため、長期間ご使用いただけます。

推奨機械・装置
・マシニングセンタ
・プレス機
・産業機械
など幅広い種類の機械・装置
防振角当てプレート
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特長
・防振パッド・プレート(別売り)と組みあわせることで直置き(支持点のない)装置や機械の除振・防振を行うことができます。
・プレートの端にあるストッパを活用することで、防振材を面で圧縮し、カタログ通りの性能を発揮することができます。


推奨機械・装置
・コンプレッサーユニット
・その他直置き(支持点のない)の装置

キャスター

防振フットホルダ(キャスター止め付)
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特長
・キャスターの付いた装置の振動対策が可能です。
・鋳鉄による一体成型構造のため、本ホルダは約3,500kgfまでの荷重に耐えられます。
・防振材を面で圧縮するため、カタログ通りの性能を発揮することができます。


推奨機械・装置
・キャスターの付いた機械・装置

導入事例

食品製造機械


使用製品

レーザー顕微鏡


使用製品

液体窒素ジェネレーター


使用製品

マシニングセンタ


使用製品

コンプレッサーユニット


使用製品

選定方法

機械や装置の足に合わせた除振・防振製品は以下を考慮することで選定をすることができます。

装置の足の形状
(除振・防振製品の)許容荷重
特性

機械や装置の足の形状

機械や装置の足の形状によって対策する方法が異なります。
対策したい機械や装置を確認し対策製品を選定します。

  • ジャッキ(アジャスタ)

  • キャスター

  • 支持点なし

許容荷重

除振・防振製品にはそれぞれ許容荷重が設定されています。
機械や装置の足の1か所あたりにかかる荷重が許容荷重範囲内のものをご使用ください。

例:

機械・装置の足

1箇所あたりにかかる荷重 kgf

許容荷重 選定
製品 許容荷重kgf
50 製品A 30~  59
製品B 13~  25 ×
製品C 55~108 ×

特性の確認

振動対策製品には振動が大きくなる周波数帯が存在します。(増幅域)
外部振動の周波数が増幅域と重なると共振し振動が増幅してしまいます。
そのような事態を避けるために、外部振動と振動対策製品の特性を把握し製品を選定する必要があります。
ナベヤではすべての振動対策製品ページに特性グラフをご用意していますので、そちらから製品の特性を確認いただくことができます。

特性グラフ(増幅域と減衰域)


特性グラフの詳しい解説を行っています。詳細はこちらからご確認いただけます。

関連製品

地震の振動対策を後付けでされたい場合はこちらの製品をご確認ください。

サービス紹介

制振ソリューション

機械や装置の設計・開発段階からの振動対策について弊社がサポートいたします。
「振動対策について知見がない」
「課題はあるけどどういう製品を選べばよいかわからない」
といった方へソリューション提案サービスを提供しております。

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