Vブロックとは

Vブロックとは

シャフトや丸棒などの円筒形ワークは、平面に置くだけでは転がりやすく、安定した状態で測定や加工を行うことが困難です。
このような丸物ワークの位置決めや保持に使われるのが「Vブロック」です。
Vブロックは、測定、検査、けがき、加工、組立など、さまざまな工程で使用されています。
ただし、Vブロックにワークを載せるだけで、すべての作業が成立するわけではありません。
求める精度や作業内容に応じて、定盤、クランプ、ストッパ、ワークサポートなどの周辺ジグを組み合わせる必要があります。
この記事では、Vブロックの用途や使い方、選び方に加えて、ナベヤのVブロックラインアップと、工程別の周辺ジグとの組み合わせ方を解説します。

Vブロックとは

Vブロックとは、V字形状の溝を利用して、シャフト、丸棒、パイプなどの円筒形ワークを受けるジグです。
円筒形ワークをV溝へ載せると、ワークがV字の左右の面に接触します。
これにより、平面へ直接置いた場合よりも転がりにくくなり、径方向の位置を安定させられます。

Vブロックが使用されるワーク

  • シャフト
  • 丸棒
  • パイプ
  • ローラー
  • 円筒形の機械部品
  • 円形またはブロック形状のワーク

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径方向の位置を安定させる

なぜVブロックは必要なのか 

丸物ワークは、そのままでは位置が安定しない

シャフトや丸棒は、平面上では安定した姿勢を保ちにくい形状です。
そのまま作業台や定盤へ置くと、次のような問題が起こります。

  • わずかな力で転がる
  • 測定中に姿勢が変わる
  • 加工時の力で回転する
  • 毎回同じ位置へセットできない
  • ワークの中心位置が安定しない


Vブロックを使用すると、V溝によって丸物ワークの径方向を位置決めし、一定の姿勢で保持しやすくなります。
これにより、測定や加工の再現性向上、段取り時間の短縮などが期待できます。

Vブロックだけでは決められない位置もある

Vブロックが主に安定させるのは、ワークの径方向です。
一方、実際の工程では、次のような動きも管理する必要があります。

  • 軸方向への移動
  • 上方向への浮き上がり
  • 加工時の回転
  • 長尺部のたわみ
  • ジグ全体の移動


そのため、目的に応じて周辺ジグを組み合わせます。

管理したい位置・動き 主なジグ
ワークの径方向 Vブロック
ワークの軸方向 ワークストッパ / ロケートピン
上方向への浮き・回転 クランピングパーツ
長尺部のたわみ・振動 ワークサポートジャッキ
測定全体の基準 定盤
ジグ全体の固定 ジグベース

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周辺ジグとの組み合わせイメージ

Vブロックの主な用途

Vブロックは、シャフトや丸棒などの丸物ワークを安定して支持・位置決めするため、測定・検査から加工、組立まで幅広い工程で使用されています。

使用工程 Vブロックの主な用途
測定・検査 シャフトの振れ測定、寸法測定、比較測定など
けがき 丸物ワークの加工位置や組立位置のけがき
加工 穴あけ、キー溝加工、側面・平面加工など
組立 シャフトやローラーなどの支持、位置合わせ


実際には、Vブロック単体ではなく、工程と求める成果に応じて定盤、クランプ、ストッパ、ワークサポートなどを組み合わせて使用します。


Vブロックの選び方

使用する工程で選ぶ

まず、測定・検査に使うのか、加工に使うのかを明確にします。
測定用途ではVブロックの精度や設置面の状態が重要です。
加工用途では、ワークとVブロックを固定する方法や、加工荷重への対応も確認することが重要です。

ワーク径で選ぶ

Vブロックには、位置決めできるワーク径の範囲があります。
小さすぎるワークはV溝底部や逃げ形状と干渉する可能性があり、大きすぎるワークは載りが浅く、不安定になる場合があります。
使用するワークの最小径と最大径を確認して選定してください。
また、素材径にばらつきがある場合は、V溝角度もポイントです。
ワーク径が変わると、Vブロックに載せたときの中心高さも変化し、その変化量はV溝角度によって異なります。

V溝角度による違い
鋭角 中心高さの変化が大きい。
径の違いを変位として捉えやすく、径の差を比較・検出する測定などに活用できます。
鈍角 中心高さの変化が小さい。
径ばらつきによる中心位置への影響を抑えやすく、素材径にばらつきがあるワークの加工・位置決めなどに適しています。

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径のバラツキによる中心高さの変位量:

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径のバラツキによる中心高さの変位量:

ワークの長さ・重量で選ぶ

長尺ワークでは、Vブロックを2個使用するのが一般的です。
ただし、ワークの自重、重心、張り出し量によっては、ワークサポートやジャッキによる補助支持が必要です。

必要な精度で選ぶ

測定やジグへの組み込みでは、次の項目を確認して選定することがポイントです。

  • 基準面に対するV溝の精度
  • 2個を使用した場合のV溝のペア差
  • 底面や側面の仕上げ
  • 必要寸法の公差
  • 図面で要求される平行度や直角度


公開されている仕様だけでは判断できない場合は、使用方法や図面上の基準面を含めて確認する必要があります。

固定方法で選ぶ

加工用途では、次の点も確認して選定することがポイントです。

  • Vブロックを機械テーブルへ固定できるか
  • クランプを配置できるか
  • 工具とクランプが干渉しないか
  • 切粉を排出できるか
  • ワークを着脱しやすいか

ナベヤの「Vブロックシリーズ」

ナベヤでは、位置決め径や用途に応じた4種類のVブロックをラインナップしています。
また、ナベヤのVブロックは、全て鋳物(FC250)製で追加工が可能です。
ジグベースへの取付用にキリ穴を設ける、Vブロック内でジグを構築するためにタップ穴を追加するなどもご相談頂くことができます。

VブロックA型

丸物ワークの受けとして、加工、検査、けがき、嵩上げなどに使用できるVブロックです。
径に合わせたV溝でワークを保持することができます。
また、クランプ溝の追加をすることでクランプバーでVブロックを固定することができます。
摺合仕様はきさげ加工を行っており、検査用での活用に特に適しています。
2個1組で販売しているため、長尺の丸物ワークにもご使用可能です。

VブロックB型

丸物ワークの受けとして、加工、検査、けがき、嵩上げなどに使用できるVブロックです。
鋳抜き部分を利用し、クランプバーでVブロックを固定することができます。
摺合仕様はきさげ加工を行っており、検査用での活用に特に適しています。
2個1組で販売しているため、長尺の丸物ワークにもご使用可能です。

Vブロック

大型の円形・ブロックワークを位置決めすることに効果的なVブロックです。
25mm、60mm、100mmのスペーサーが付属しており、ワークに応じて高さを調整できます。
また、ガイドブロックを取り付けることで、ワークの位置決め時間短縮を図ることもできます。
クランプバーやハイトシリンダーなどの周辺ジグと組み合わせることで、大型ワークの加工ジグとして構成できます。

プリズムブロックS型

全長が長いため、長尺の円形・ブロックワークの位置決めをすることに効果的なVブロックです。
追加工・切断が容易なため、ご購入後にサイズ調整の上ご使用頂くことができます。


製品名 位置決め径(φ) 主な使用シーン
VブロックA型 6~ 加工・測定・検査・けがきに使いたい、嵩上げにも使用したい
VブロックB型 9~ 検査工程での丸物ワークの位置決めに使いたい
Vブロック 60~ 大径シャフトや大型ワークを位置決めしたい、高さを調整したい、クランプを含めた構成を検討したい
プリズムブロックS型 8~ 長尺の円形またはブロックワークを位置決めしたい、購入後に自社で加工して自由に使いたい

Vブロックと周辺ジグの組み合わせ

Vブロックを実際の工程でどのように使用するのかを紹介します。
ポイントは「Vブロックを何に使うか」だけでなく、どの工程で、どのような成果を求めているのかからジグ構成を考えることです。

求める成果 工程・使用シーン 組み合わせと役割
シャフトの振れを安定して測定したい 品質検査 Vブロックで支持 + 定盤で測定基準をつくる
丸物ワークを安定して加工したい 加工 Vブロックで支持 + クランピングパーツで保持する
丸物ワークのセット位置を再現したい 量産・繰り返し作業 Vブロックで支持 + 基準に合った位置決め製品 + クランピングパーツで保持する
たわみや姿勢変化を抑えたい 長尺・偏荷重ワークの保持 Vブロックで支持 + ワークサポートジャッキで補助支持する

シャフトの振れを安定して測定したい

加工後検査や受入・出荷検査などで、シャフトを毎回同じ条件で測定したい場合に使用できます。
シャフトはそのままでは転がりやすいため、Vブロックで支持します。
さらに、平面度が管理された定盤を共通の基準面として使用することで、測定器とワークの位置関係を安定させます。


ナベヤ製品の組み合わせ例


※VブロックA型・B型は、ワーク径、本体寸法、必要精度、設置条件などから選定してください。

丸物ワークの回転・浮きを抑えて加工したい

ボール盤での穴あけ加工、フライス盤でのキー溝加工、立形マシニングセンタでの側面・平面加工、
横形マシニングセンタでの多面加工、門形マシニングセンタでの大型シャフト加工などで使用できます。
Vブロックで丸物ワークを受けるだけでは、切削抵抗による回転や浮き上がりを防げません。
そのため、クランプ部品を組み合わせて固定します。

ナベヤ製品の組み合わせ例

丸物ワークのセット位置を再現したい

同一ワークを繰り返し加工・検査する工程では、セットするたびに位置合わせを行っていると段取り時間が増えます。
そこで、Vブロックで丸物ワークの径方向を安定させ、位置決めの基準に合わせてアジャストミントストップを組み合わせることで、繰り返し同じ位置へセットしやすくします。


ナベヤ製品の組み合わせ例

長尺・偏荷重ワークのたわみや姿勢変化を抑えたい

長尺シャフトやローラー、片側にフランジ・ギヤなどがあり重量が偏ったワークでは、Vブロックだけでは張り出し部のたわみや姿勢変化が問題になる場合があります。
そこで、Vブロックで基本となる支持位置をつくり、必要な箇所をワークサポートで補助支持します。

ナベヤ製品の組み合わせ例


※ワークサポートジャッキを使用する際は、ワークを押し上げてVブロックから浮かせないように調整します。

Vブロックを使用するときの注意点

使用前に接触面を清掃する

Vブロックの底面やV溝、定盤、ワーク表面などに切粉や異物が付着すると、ワークやVブロックの姿勢に影響することがあります。
使用前後に接触面を確認し、異物を除去してください。

ワーク径に合ったVブロックを使用する

製品ごとに対応できるワーク径が異なります。
ワークの材質、形状、肉厚、作業内容に応じて締付方法を検討してください。

測定用と加工用の管理に注意する

加工で使用するVブロックには、切粉や打痕などが発生する可能性があります。
高精度な測定に使用する場合は、使用面の状態を確認し、必要に応じて測定用途と加工用途を分けて管理してください。

長尺・偏荷重ワークは支持方法を確認する

ワークの長さ、重量、重心位置によって、必要なVブロックの個数や配置、補助支持の方法は変わります。
特に片側に重量が偏るワークでは、Vブロックへどのように荷重がかかるかを確認することが重要です。

Vブロックの選定のご相談はこちら

Vブロックは、シャフトや丸棒などの丸物ワークを安定して支持・位置決めするためのジグです。
選定・使用する際は、次の3点がポイントです。

  • ワーク径やサイズ、必要精度に合ったVブロックを選ぶ
  • 測定・加工・位置決めなど、工程や用途に応じて周辺ジグを組み合わせる
  • 長尺・重量物などは、ワークの重量や重心、支持方法まで確認する


ナベヤでは、Vブロック各種に加えて、定盤、クランピングパーツ、位置決め製品、ワークサポートなどの周辺ジグもラインナップしています。
Vブロックの選定や周辺ジグとの組み合わせでお困りの場合は、ワーク図面や使用条件をご用意のうえ、お問い合わせください。