剛性対策は振動対策のひとつ~剛性ありきが前提条件~
振動対策は「対策対象に剛性があること」が前提条件としてあります。対策の対象に剛性がない場合に対策しても効果が低く対策基準を満たさない場合があるためです。
ここでは、対策の対象になぜ剛性が必要なのかをわかりやすく解説しています。
対策の対象に剛性がなぜ必要なのか
外部からの振動によって装置内部の測定部で測定不良が発生したとします。原因を究明するために床と測定部の振動を測定します。
このとき、床振動が小さく測定部の振動が大きい場合、装置の剛性が弱いために振動を大きくしていることが原因として挙げられます。
このような場合は、もともと小さな振動を対策しても装置自体が揺れるため、効果が低く対策基準に満たさない場合があります。
一方で、装置に剛性があり床振動と測定部の振動の大きさが同一で小さい場合、測定不良にならず振動対策が不要になる場合もあります。
このように、振動対策の必要性を判断するためには、対策対象に「剛性があること」が条件として必要になります。
剛性有無で変わる振動の大きさ
剛性の有無によって振動の大きさがどのように変わるかを作業台を例にして解説していきます。
以下の例は水平に「1」という大きさの床振動が作業台上面でどのような振動の大きさになるかわかりやすくイメージしたものです。
作業台の剛性がある場合は、床と作業台上面の振動が1:1になりますが、剛性がない場合は振動を大きくするため1:3に増幅しています。
このように剛性がない場合は、小さな振動を大きくする影響があるため、対策対象の剛性の重要性を理解することができます。
作業台の剛性比較による振動の大きさ
剛性のある作業台 | 剛性がない作業台 | |
---|---|---|
作業台の素材 |
重量・厚みのある溶接台 |
細いアルミ製作業台 |
イメージ | ![]() |
![]() |
振動の大きさ | 床振動:作業台上面=1:1 | 床振動:作業台上面=1:3 |
剛性か振動か原因を判断する方法
対策対象の剛性有無は、床と対策対象(装置や作業台など)の振動伝達状況を測定・解析することによって判断することができます。
ただし、作業台上に測定器を設置し測定値のバラつきや画像ブレが発生した際、測定器を床に設置し測定することで原因を判断することができます。
このとき、床に設置して測定した方が正確な測定値が得られる場合は、作業台の剛性がなく増幅させていることが原因となり作業台の剛性対策が求められます。
一方で、同じ測定値が得られる場合は、作業台の剛性があり振動が原因のため振動対策する必要があります。