共振リスク回避は振動対策のひとつ~固有振動・共振~

物体がもつ固有振動、振動を与えられると増幅する事象「共振」
与えられる振動に対して対象となる設備や装置、対策製品がどのようになるか理解する必要があります。
ここでは、物体がもつ「固有振動」と固有振動によって振動が大きくなる事象「共振」とは何かをわかりやすく解説しています。

固有振動数の把握がなぜ必要なのか

振動が与えられると設備や装置に障害が起きる事象は「固有振動」が関係しています。
これは、物体にはそれぞれ決まった固有振動があり、与えられた振動と固有振動が合致することによって、振動が増幅し「共振」という事象になるためです。
固有振動は設備や装置だけでなく対策製品も同様で、与えられた振動と対策製品の固有振動が合致すると共振し悪影響を及ぼすことになります。
そのため、振動対策には固有振動と合致しないように、あらかじめ設備や装置、対策製品などの固有振動を把握することが必要となります。
それでは、「固有振動」「共振」とはなにかをわかりやすく解説していきます。

固有振動数とは

物体に衝撃を与えると、物体はそれぞれ決まった周波数(1秒間に揺れる回数)で振動します。
このような物体ごとの決まった振動を「固有振動」、その周波数(1秒間の振動回数)を「固有振動数」と言います。
ハンマーで材質や形状の違う物体をそれぞれ叩いてみてください。物体によって音が異なりますが、誰が叩いても同じ高さの音になります。これは物体がそれぞれ決まった周波数で振動しているからです。
分かりやすい例として、楽器を指で叩くと誰でも同じ音が出せることと同様の事象です。

共振とは

物体に固有振動を繰り返し与えると変位が増幅し、どんどん大きくなるという現象が起こります。この物体が大きく揺れる現象を「共振」、この共振が起こる周波数を「共振周波数」と呼びます。
共振は物体の固有振動数と同じ周波数の振動を受け続けると起こるため、数値上は「共振周波数」=「固有振動数」と言えます。
わかりやすい例としてブランコをイメージしてください。
ブランコを漕ぐとき、ブランコの動きに合わせて前後に体重をかけるとより大きく揺れます。ブランコの前後の揺れと人の揺れが一致したことでブランコが「共振」しているといえます。

ブランコの共振例

対策製品の共振

対策製品にも固有振動があります。本来減衰する特性をもつ対策製品でも固有振動と与えれた振動が合致すると共振します。
導入したが効果がない、悪くなったという場合は、対策対象とする振動と対策製品の固有振動が合致している可能性があります。
対策製品を選定するには、あらかじめ固有振動数を把握し、対策する周波数が外れているか、減衰領域にあるかを確認する必要があります。

以下の伝達特性グラフを確認してください。この製品の固有振動数は約20Hzです。対策する周波数が20Hzの場合、この製品を使用すると共振し4倍増幅します。

固有振動と共振の関係性