対策製品の減衰特性把握~伝達特性グラフを読み解く~
対策製品の選定には、周波数に合わせて対策基準値まで減衰できる特性を持っているか把握しなければなりません。
対策製品にも振動をより大きくする「増幅域」と小さくする「減衰域」があり、これらは製品ごとの伝達特性グラフで把握することができます。
ここでは、特性グラフの見方や読み解き方をわかりやすく解説しています。
対策製品の特性把握がなぜ必要か
除振・防振機能を持った製品は、どんな振動でも減衰できるわけではありません。
それぞれの製品にも固有振動数があり、減衰できる周波数(Hz)領域と減衰率も異なります。一方で増幅させる領域もあるため製品特性をよく理解する必要があります。
周波数帯別の増幅・減衰特性は製品ごとの伝達特性グラフで把握することができます。
増幅・減衰領域の特性と伝達率を把握する
伝達特性グラフとは、横軸に周波数、縦軸に伝達率をさし、製品がもつ特性を曲線で示したグラフです。
以下の図はある製品の特性グラフを示しています。
この製品は、30Hzまでの周波数では「増幅域」となり、30Hz以降から「減衰域」となります。
周波数と曲線の合致点から伝達率を見ることで増幅・減衰時に「何倍」になるか把握することができます。
増幅域・減衰域の特性把握
伝達率=1:変化がない状態(1:1で伝達)
伝達率>1:振動を大きくする「増幅域」
伝達率<1:振動を小さくする「減衰域」
増幅・減衰倍率の把握
対策周波数と製品曲線を結んだ伝達率の数値
1を超える倍率=与えられた振動がその倍数で増幅
1未満の倍率=与えられた振動がその倍数で減衰
製品特性を選定する
製品特性の選定には、対策する「対策周波数」と、対策基準値までの目標倍率である「振動伝達率(倍数)」を基準にします。
伝達特性グラフの周波数と特性曲線を結び、減衰特性の伝達率(縦軸)が目標値の振動伝達率をクリアしていれば製品として適切と判断できます。
対策製品が減衰特性を満たしているかどうか例を挙げて説明します。以下のグラフと絵を確認してください。
減衰特性確認の流れ
1.障害振動の把握
40Hzで変位5μmの障害が発生。
2.対策目標
40Hzの変位5μmを1μm以下、すなわち0.2倍(1/5)に減衰を目標にします。
3.製品特性の選定
40Hzで0.2倍(1/5)以下の減衰特性をもつ製品を選定します。
4.特性グラフで特性を確認する
0Hzの縦軸と製品の特性曲線が合致する伝達率(横軸)を確認。
40Hzで0.16倍の減衰特性をもっていることが分かります。
5.判断結果
対策目標 40Hz 変位5μm ▶ 1μm以下
減衰効果 40Hz 変位5μm ▶ 0.16倍の減衰特性 ▶ 0.8μm
結果:目標値を満たす減衰特性がある
特性グラフ
選定プログラムを活用!
このように対策製品は、対策周波数に合わせて目標値を満たす減衰特性を有する製品を選定することが重要となります。
ナベヤのWEBサイトでは、各製品のページで対策周波数や荷重に対して特性を確認することができます。ぜひご活用ください。