振動対策に必要な要素の理解~振動の大きさ(加速度・速度・変位)~

振動対策は、対策完了の状態を体感的なあやふやな状態ではなく、振動の大きさをどこまで抑えるか「数値」で明確にしなければなりません。
また、対策製品の選定においても振動の大きさをどれだけ小さくできるかなど深く関わってきます。
ここでは、振動の大きさの「加速度」「速度」「変位」とは何かをわかりやすく解説しています。

振動の大きさ(加速度、速度、変位)がなぜ必要なのか

「ドーン・ブルブルがなくれば対策完了」といった体感指標は、個人のバラつきが曖昧で対策完了の判断ができません。
振動対策は、体感指標ではなく対策基準の設定や対策完了を数値で明確にしなければなりません。
そのためには、振動の大きさの「加速度・速度・変位」のいずれかで数値化する必要があります。

振動の大きさ「加速度」とは

加速度とは、単位時間当たりの速度の変化(大きさ)を表し、単位は1秒(s)あたりの速度の変化(m/s)の場合、「m/s^2」となります。
※メーター・パー・セック・ジジョウと呼びます。
速度の変化量が大きいほど加速度は大きな値になるため、物体が加速すると速度が上昇し、減速すると速度が低下します。
加速度の値は「加速度(m/s^2)=速度(m/s)÷時間(s)」の計算式で計算できます。

加速度変化例

車の場合、加速度は急発進ほど高く、緩やかな場合ほど低くなります。すなわち、加速度は「勢い」として体感されます。
以下の図で加速度の変化と計算式をご確認いただけます。

1秒間(s)に速度3m/s上がる:計算式(3m/s-0m/s)÷1s=加速度 3m/s^2
1秒間(s)に速度が3m/sで変化がない:(3m/s-3m/s)÷1s=加速度 0m/s^2
1秒間(s)に速度2m/s下がる:(1m/s−3m/s)÷1s=加速度 −2m/s^2

振動の大きさ「速度」とは

速度とは、対象物の単位時間あたりの変位(大きさ)を表し、単位は、1秒(s)あたりの変位(m)の場合、「m/s」となります。
※メーター・パー・セックと呼びます。

単位時間とは、「1秒、1分」などの決まった時間のことを指し、変位とは、「1m、1km」などの位置の変化を指します。
速度の値は「速度(m/s)= 変位(m)÷ 時間(s)」の計算式で計算できます。

速度変化例

車の場合、速度は1秒間で進む位置変化が大きい場合ほど速く、小さい場合は遅くなります。すなわち、速度は「スピード(速さ)」として体感されます。
以下の図で速度の変化と計算式をご確認いただけます。

1秒間で2m進む:計算式(2m-0m)÷1s=速度 2m/s
1秒間で3m進む:計算式(5m-2m)÷1s=速度 3m/s

振動の大きさ「変位」とは

変位とは、位置の変化(揺れの向きと大きさ)を表し、単位は「m」となります。※メートルと呼びます。
基準の状態を中心に左右または上下の位置の変化を「変位」と表します。

変位例

床の場合、基準の状態を中心に位置が大きく変わるほど変位は大きく、小さければ変位は小さくなります。
すなわち、変位は「揺れ」として体感でき、画像では「ブレ・ぼやけ」、測定機器では「数値のバラつき」によって確認できます。
以下の図で変位の変化をご確認いただけます。
基準位置を中心に+方向に0.001m、-方向に0.001mの変位です。

振動の大きさの特定に困ったらソリューションを活用

振動の大きさである加速度、速度、変位は、対策製品の選定や対策基準の設定に必要な数値化です。
これらは振動測定、解析によって把握することができます。ナベヤでは、加速度、速度、変位特定の測定解析ソリューションがあります。