重心を下げること
振動対策は「対策対象の重心が低いこと」が前提条件としてあります。重心が高いと小さな振動でも揺れが大きくなり、対策しても基準を満たさない場合があるためです。
ここでは、対策の対象が低重心であるべき理由をわかりやすく解説しています。
低重心がなぜ必要なのか
対策対象の重心位置は「揺れやすさ」に大きく関わっています。重心位置が高い場合、小さな振動や力が与えられると揺れが大きくなります。
この揺れによって障害が発生している場合は、重心を下げることで揺れを最小限に抑えることができます。
重心が下がることによって、小さな振動や力が与えられても持ちこたえることができるためです。
そのため、対策の対象が重心が高く揺れやすい場合は、重心を低くし揺れにくくしたうえで振動対策することが重要になってきます。
重心位置で変わる揺れの大きさ
重心の高低によって揺れの大きさがどのように変わるかを装置を例にして解説していきます。
以下の装置はステージが水平方向に移動する装置とします。ステージ移動による荷重変動の影響で重心が低い場合と高い場合で揺れの大きさは異なります。
重心位置が高いと装置自身が揺れてしまうため、重量のある除振台に設置し重心位置を低くし揺れを最小限に抑えることが重要です。
重心位置の高低差による揺れの大きさの違い
低い | 髙い | |
---|---|---|
対策方法 |
重量のある除振台に装置を設置 |
防振マウントを装置に設置 |
イメージ | ![]() |
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揺れの大きさ | 小さい | 大きい |
重心を低くする方法
前述では、重量・剛性のある除振台に装置を設置し重心を下げる方法で対応しています。この方法以外にも形状を変えることによって重心位置を低くすることもできます。
以下の図は懸垂型の形状の除振台にすることで重心を下げ揺れにくくしています。特に顕微鏡など覗き込むアイポイントを変えたくない場合に有効な対策方法です。
これらは装置の設計や作業台の形状にも応用できる方法の一つです。