卓上除振台とは
卓上除振台とは
卓上除振台とは、外部振動の影響を低減することで精密機器(マイクロスコープ、レーザー顕微鏡、画像測定機など)本来の機能を発揮させる製品です。
※「除振」については以下で解説しています。
「そもそも除振とは?」「防振とは何が違うの?」といった疑問をお持ちの方はこちらをご確認ください。
卓上除振台の特長
精密機器本来の機能を発揮して、高精度に安定して測定を行うには、振動は大きな障害となります。
しかし装置には様々な要因で「振動」が伝達し、対策をしない限り、高精度に安定して測定を行うことはできません。
振動要因
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付近の交通状況
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同じ施設内の工作機械・コンプレッサー
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工場内の輸送
卓上除振台は振動を減衰させる機能があるため、様々な要因で発生する振動を除振し、測定結果を「より鮮明に」、「より正確に」することができる製品です。
卓上除振台の種類
卓上除振台は振動を減衰させる防振材の種類によって「空気ばね」「コイルスプリング」「防振ゴム」の3タイプに分類されます。性能やメンテナンス性においてメリット/デメリットがあり、お客様の課題や目的に応じて選定できます。
空気ばねタイプ(供給 / 密閉)
空気ばねタイプは、エアーを利用して振動を減衰する除振台です。仕様により以下の2タイプがあります。
供給タイプ | :除振台へエアーを常時供給するタイプ |
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密封タイプ | :エアー供給後、一定期間エアー供給が不要なタイプ |
メリット | デメリット |
---|---|
・低周波から対策ができる ・荷重変動に対応できる(供給タイプのみ) ・偏重量に対応できる |
・価格が高い ・エアー源・電源等が必要 ・特性が良い分装置が揺れやすい ・定期的な空気調整が必要(密封タイプのみ) |
コイルスプリングタイプ
コイルスプリングタイプは、スプリングを利用して振動を減衰する除振台です。
メリット | デメリット |
---|---|
・空気ばねと比べて安価 ・エアー供給等の定期的なメンテナンスが不要 ・どこでも設置可能で、すぐに使用ができる (エアー、電源等の配管、配線の設置が不要) |
・荷重変動に弱い ・特性が良い分装置が揺れやすい |
防振ゴムタイプ
防振ゴムタイプは、防振ゴムを利用して振動を減衰する除振台です。
メリット | デメリット |
---|---|
・3タイプの中で最も安価な場合が多い ・エアー供給等の定期的なメンテナンスが不要 ・装置の揺れの収束が早い ・どこでも設置可能で、すぐに使用できる (エアー、電源等の配管、配線の設置が不要) ・サイズ、形状を自由に加工が可能 |
・他のタイプと比べて性能が劣る ・ゴムの特性上、経年劣化により防振性能が低下する |
特長比較
振動の減衰性
価格
メンテナンス性
装置の揺れの収束速さ
ナベヤは「空気ばね」「コイルスプリング」「防振ゴム」3タイプそれぞれの製品を取り揃えております。
その中でもナベヤは特に「コイルスプリング」タイプの製品に強みを持ち、多くの企業様からのご支持をいただいております。
ナベヤの卓上除振台ラインナップ
ナベヤが取り揃えている「コイルスプリング」「空気ばね」「防振ゴム」3タイプそれぞれの製品について紹介します。
コイルスプリングタイプ
ナベヤの「コイルスプリング式除振台」の特長
- エアー供給源の準備、定期的なメンテナンスが不要。
設置するだけですぐに使用することができます。 - マウントのダイヤルでレベル調整が可能(図1)。
軽微な傾きに対してはダイヤル調整機能を用いて除振台上を水平に保つことができます - 許容荷重:0kN~対応可能なため、質量の軽い検査・測定機器にもご使用いただけます。
- コイルスプリングタイプの弱点である「揺れやすい」に対応したマウント(HD)により、防振ゴム同等の揺れの収束の速さを実現(表1・グラフ1)。
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図1
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グラフ1
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表1
▼コイルスプリングタイプ ラインナップ
除振台VLS

・懸垂型で重心が低くなることにより重心の高い装置の揺れを抑えます。
・スペースに応じて足の向きを自在に変更することができます。
採用機種例
・マイクロスコープ
・マイクロビッカース硬さ試験機
・表面粗さ測定機
・光学顕微鏡
・電子てんびん
・粘度計
・その他質量の軽い検査・測定機器
除振台VPG

・プレート部に石を採用。
耐食性・耐久性に優れ、長期でご使用いただけます。
・省スペースでの設置が可能。
(プレートを下から支える構造のためスペースを取らない)
採用機種例
・マイクロスコープ
・光学顕微鏡
・電子てんびん
・粘度計
・その他質量の軽い検査・測定機器
空気ばねタイプ
卓上エアー除振台

・ステージを動かしたりする等の荷重変動にも柔軟に対応。
・自動レベリング機能により偏荷重にも対応。
・アルミプレート(別売り)と組み合わせることで測定ジグとの組み合わせも可能。
採用機種例
・顕微鏡
・真円度測定機
・理化学研究分野
防振ゴムタイプ
パッド式除振台

・エアー供給源の準備、定期的なメンテナンスが不要。
設置するだけですぐに使用が可能。
・装置の揺れを素早く収束させることが可能。
頻繁に操作する測定・検査機器等の使用の際におすすめです。
・プレート部に石を採用。
耐食性・耐久性に優れ、長期でご使用いただけます。
・使用している防振材(防振パッド)は通常の防振ゴムと比べて、
ゴムの劣化による防振性能の低下がないため、長期間ご使用いただけます。
採用機種例
・電子てんびん
・分析てんびん
・振動を嫌う精密機器
仕様表
導入事例
マイクロスコープ

高倍率の測定もクリアに

使用製品
表面粗さ測定機

安定して測定

使用製品
硬さ試験機

使用製品
電子てんびん

0.001μmまで安定して測定
使用製品
除振台の選定方法
除振台は以下の点を考慮することで、悪影響を及ぼす振動、保有する装置に最適な除振台を選定することができます。
- サイズ
- 許容荷重
- 特性の確認
サイズ
除振台は装置の外寸、重心位置に合わせてプレートのサイズを選定します。
装置の重心位置がプレートの中心位置に重なり、装置がプレートからなるべく飛び出さないサイズを確認して選定してください。
(重心が中心位置に重なっていれば、プレートから装置が多少飛び出しても問題ありません。もしも選定時に気になるようでしたらお問い合わせください。)
配置イメージ
許容荷重
除振台には許容荷重が設定されています。搭載する装置と測定対象物の重量を合算し、許容荷重範囲内でご使用ください。
許容荷重の範囲では、最大値に近いほど減衰特性が高まります。
型式によって許容荷重が重複する場合は、最大値に近い型式を選定してください。
例)装置・測定対象物の重量:10㎏の場合
装置・測定物の合算重量 | 許容荷重 | 選定 | ||
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オーダー№ | № | 許容荷重 Kg | ||
10Kg | 製品A | 5~12 | 〇 | |
製品B | 10~25 | - |
特性の確認
振動対策製品には振動が大きくなる周波数帯が存在します。(増幅域)
外部振動の周波数が増幅域と重なると共振し振動が増幅してしまいます。
そのような事態を避けるために、外部振動と振動対策製品の特性を把握し製品を選定する必要があります。
ナベヤではすべての振動対策製品ページに特性グラフをご用意していますので、そちらから製品の特性を確認いただくことができます。
特性グラフ(増幅域と減衰域)
特性グラフの詳しい解説を行っています。詳細はこちらからご確認いただけます。
その他選定方法
ナベヤでは簡単に除振台を選定できるツールを2つご用意しております。
●選定プログラムを利用して選定する
支持荷重(1点あたり)・対象振動周波数・振動伝達率を入力いただくだけで自動で製品の選定を行います。
●機種から選ぶ
装置メーカー各機種で使用できる除振台を掲載したコラボチラシ/カタログをご用意しています。
除振性能、重心など装置の条件を測定機器メーカー様に確認して最適設計された除振台も取り揃えております。
すでにお持ちの機種がございましたら、以下からお選びいただけます。(メーカー名 50音順)
キーエンス
上記以外の機種でも弊社で選定いたします。
「機種」「重量」「重心位置」を記載の上、お問い合わせください。
振動対策のサポートを行っています
除振台貸出サービス
除振台の貸出サービスを行っております。詳しくはこちらからご確認ください。
お役立ち情報
「振動対策するために考えるべきことは?」「そもそも振動対策とは?」といった振動対策の考え方についてのお役立ち情報を掲載しております。
制振ソリューション
「振動対策をしたいけど時間も割けないし、そもそもどう対策すれば良いか分からない」
「本当に効果のある振動対策を行いたい」
といった方へソリューション提案サービスをご用意しております。