治具選定のポイント

定盤の選定


定盤選定

定盤とは、一般的に機械部品の加工、組立ておよび検査における基準平面として用いられます。形状は、長方形または正方形の表面をもち、その平面は機械加工、きさげまたはラップ仕上げによって正しい平面に仕上げられています。近年、その用途は車両等の様々な試験に応じるべく多機能な要求が求められています。

材質

材質は鋳鉄製と石製が多く用いられています。


鋳鉄製

ねずみ鋳鉄が多く用いられ変形を小さくするために裏側はリブで補強されています。また、鋳造後の経年変化をなくすために熱処理(焼鈍)で内部応力の除去を行っています。


石製

花コウ岩、斑レイ岩、輝緑岩が使われ、さびないこと、傷をつけたときの盛上りがないことなどの特長があります。特に、斑レイ岩(通称みかげ石)は硬度が高く、組織が緻密でばらつきがないため機械的にも優れています。

<みかげ石の物理的性質>
・比重:2.9
・吸水率:0.03%
・熱伝導率:2.14W/m.k
・線膨張係数:5.5×10-6/℃

機械的性質 鋳鉄(FC250) みかげ石
ヤング率
(kN/mm2)
110~130 60~100
引張強さ
(N/mm2)
※250以上 7~35
圧縮強さ
(N/mm2)
930~1080 100~300
硬さ ※HB241以下 Hs70~102
※供試材鋳放し直径φ30による。

各定盤の特長 鋳鉄製 石製
耐摩耗性
耐蝕性
減衰性
平面の修復性
追加工性
反吸着性
温度変化による影響されにくさ

精度規格

定盤上で測定作業を行う場合、定盤の「平面度」は測定値の信頼性に影響します。
平面度の許容範囲は、JIS規格により0級、1級、および2級の3等級に区分されており次の式より求めることができます。

t=C1ℓ+C2
t:全面の平面度の許容差
ℓ:最も近い上の100mmに丸めた定盤の対角線の呼び長さ(mm)
C1・C2:定盤の等級に対する定数

定盤の等級 C1 C2
0 0.003 2.5
1 0.006 5
2 0.012 10
※対角線の長さは、最も近い上の100mmに丸めた値。0・00級は0.5μm、1級は1μmに近い方の値に丸めてあります。

各定盤の平面度はJIS 規格が基本になります。
特にグラナイト精密石定盤はJIS0 級を上回る00 級を設定してます。

等級 JIS規格   0級 1級 2級    
社内規格 00級     A級 B級 機械仕上
グラナイト精密石定盤
JIS型精密検査用定盤
箱型定盤
(参考)600X600の平面度(μm) 2.5 5 10 21 42 66

平面度

使用面を幾何学的に正しい平行二平面で挟んだとき、平行二平面の間隔が最小となる間隔の寸法で表す。
(JIS B 7513)

平面度
平面度のイメージ

使用面の仕上げ


機械仕上

工作機械によりフライス仕上、又はヘール仕上を行い、いずれも同等の面粗さの仕上がりとなります。(面粗さ3.2~6.3Ra)
・フライス仕上:回転運動による切削加工
・ヘール仕上:直線運動による切削加工
また、溝加工や穴加工も機械加工で対応可能です。


きさげ仕上

工作機械による加工面に対してさらに高い精度の仕上面を得るために行われる手作業のことです。定盤、測定機器でもこの仕上は用いられており等級の高い精度を確保しています。きさげ面は測定機器とのリンキング(密着)作用を低減させる効果もあります。

きさげ仕上きさげ仕上げ品

剛性

定盤の剛性はその材質と構造で決まります。定盤の高さ、肉厚、リブの配置、形状は剛性に影響します。精密定盤(JIS B 7513)では剛性の定義が以下のとおり明記されています。
「定盤使用面の中央に荷重を加えたとき、負荷部分のたわみが200Nにつき1μmを超えないような剛性をもつこと」
弊社製定盤の剛性とJIS規格の位置づけを剛性分布図に示します。(試験用定盤は評価が異なります)

剛性

許容荷重

定盤に載荷する場合、その目安として許容荷重の記載をしています。各定盤の許容荷重は下表の条件に基づき算出していますので載荷時の参考にしてください。試験用定盤は多点拘束のため算出方法も異なります。(許容荷重と耐荷重は同意語としてます)
※許容荷重は平面度を保証するものではありません。


定盤 はかり計算図 記号説明 関係式
試験用 はかり計算図 △:支持点(定盤ジャッキポイント)
w:等分布荷重
W を算出後単位面積、又は単位長さ
あたりの荷重に換算
σ:引張強さ
M:曲げモーメント
Z:断面係数
L:支持点きょり
σ=M/Z
M=w L2/8
検査・測定用
工作・組立用
はかり計算図 △:支持点(定盤長手端)
W:集中荷重
L:支持点きょり
L1=L2:L/2
ほか同上
M=W・L1・L2/L

品質管理

国家基準-社内基準-作業計測器を通じての校正ルールを定めています。計測器の精度の維持管理と製品の品質を保証しています。有償にて校正証明書の発行も承っております。
※機種により発行できない場合がありますので、お問合わせください。

据付

検査・測定機用定盤

定盤使用面の傾きは検査・測定値の信頼性に影響します。据付作業ではその傾きを最小限に抑えるためレベル出しを行います。定盤の調整ポイント(調整ねじ、又はレベリングブロックなどで定盤を受ける部位)は主要ポイントと補助ポイントに分けてレベル出しを行います。

主要ポイント(●)
おおよそのレベル出しを行います。(水準器の読みで1目盛を目安)定盤重量を直接受けます。(通常3点受け)

補助ポイント(○)
レベルの微調整、定盤重量の分散を行います。
調整ポイントの考え方はすべての定盤のレベル出しに共通する基本作業です。ここでは検査用定盤とアングル台の据付手順の概要説明をします。

定盤の調整ポイント
定盤の調整ポイント
アングル台付定盤の水準器の配置例
アングル台付定盤の水準器の配置例

概要説明

作業 作業手順 必要機器
アングル台設置 定位置へ設置
①水準器の配置、読み⇒②フットジャッキ調整⇒③水準器移動
おおよそのレベル出しを行う
ホイスト、クレーンなど
土木用水準器
スパナ等
定盤設置 定位置へ設置(調整ポイントの主要、補助確認)
調整ねじなどのレベル調整部品の装着、又は配置(直置きの場合は不要)
ホイスト、クレーンなど
定盤レベル出し 水準器の配置(水準器A、Bの向きは最後まで変えない)
①水準器の読み⇒②調整ねじ調整⇒③水準器移動⇒①⇒②⇒③
(くり返し)
精密水準器(0.02/目盛)
スパナ等
精度確認 全測定位置の水準器読みが1目盛以下であることを確認。
各レベル調整点で「遊び」がないことを確認
精密水準器(0.02/目盛)

工作・組立用定盤

土間、または固定台などへ直置きの場合はガタツキがないようシム調整してください。定盤使用面の傾きの影響を抑える必要がある場合は前述の手順でレベル出しを行ってください。

工作・組立用定盤

試験用定盤

各種試験体と試験設備が相手となる試験用定盤は剛性のほか、基礎との一体化が重要となります。また、複数枚もの定盤を配置する場合も多く、お客様や建築、試験機メーカーとの打ち合わせが事前に必要となります。
ここでは代表的な据付方法を紹介します。レベル出しについては検査・測定用と同じです。


架台方式

作業手順 イメージ
架台 ①搬入
②レベル出し
③アンカー基礎固定
④コンクリート埋め戻し~養生
架台方式
定盤 ⑤搬入
⑥レベル出し
⑦架台と固定
⑧(コンクリート埋め戻し)
特長 定盤固定作業は基礎に依存されない。
多面仕様でも据付が容易。

アンカー固定方式

作業手順 イメージ
定盤 ①搬入
②レベル出し
③基礎と固定
④コンクリート埋め戻し~養生
アンカー固定方式
特長 架台方式に比べ工期が短い。
基礎配筋とアンカーの干渉に注意を要する。

試験定盤と防振定盤

弊社では、性能評価などの各種試験で使用する定盤システムについて提案しています。
試験定盤・防振定盤に関することは何でもご相談ください。

試験定盤

試験用定盤と防振ユニットの組合せ例

試験用定盤に防振ユニットを組合わせてさまざまな試験環境に適した防振定盤システムを提案します。

■オートレベル調整式防振定盤
オートレベル調整式防振定盤
■マニュアルレベル調整式防振定盤
マニュアルレベル調整式防振定盤
■防振プレート方式
防振プレート方式
■振動テスト定盤(固定定盤)
振動テスト定盤(固定定盤)
■セットアップ定盤(外段取り用定盤)
セットアップ定盤(外段取り用定盤)

駆動系試験に最適な防振定盤システムのご案内

駆動系試験の振動問題を解決する最適なシステムをご提案いたします。

防振マウントの組み合わせにより、水平鉛直の防振を同時に実現します。
試験内容に合わせて最適な振動減衰特性のシステムをご提案します。

防振定盤システム

駆動系試験の抱える振動問題

試験対象の高出力・大型化に伴い様々な課題がクロースアップされています。

駆動系試験の抱える振動問題

試験定盤と防振定盤

1 自動車メーカー
2 建設機械メーカー
3 研究機関

防振定盤

防振特性

コイルばね、エアばね、粘弾性ダンパーを組合せた制振マウントにより、水平鉛直の防振性能が同時に得られます。
レベル調整は、オート式とマニュアル式があります。


特長

周波数特性............ ご希望の特性に合せて設計・製作します。
防振方向................ 水平鉛直
荷重範囲................ 数10tレベルまで対応
サイズ.................... 高さ400ミリ以下( 定盤含む)
複数の定盤構成ができ、種々の試験機レイアウトに対応できます。

レイアウト例

レイアウト例

レベル制御


オートレベル調整式

荷重変化時に自動でレベル調整ができますので定盤上の試験・測定機器の移動頻度が高い場合に適しています。4点以上のレベルセッティングにより、定盤の平面度を保ちます。

オートレベル調整式

マニュアルレベル調整式

マニュアルでレベルを調整するタイプは試験機・設備の移動頻度が少ない場合に適しています。
独自のレベルセンシング機能により、調整が容易です。

マニュアルレベル調整式

信頼性

シンプルなメカニカル構造の採用により、安定性と信頼性の高いシステムになっていますので、メンテナンスが容易です。マニュアル調整式は、ほとんどメンテナンスを要しません。

その他取扱

定盤は温度および温度の管理された雰囲気の中に設置することが望ましく、直接日光や突然の通風などは避けてください。許容荷重を超過しないように注意して、可能な限り積載荷重は分散させてください。

鋳鉄製定盤の場合

使用面のきずはバリを生じ、使用面の摩擦を促進するため砥石で局部的に除去を行い、その後研磨を十分に拭取ってください。長期使用しないときは使用面には防錆油を塗布して、上面にはカバーなどを掛け養生してください。

詳しい情報は製品カテゴリページにある
「カテゴリ説明」「体系図」タブをクリックしてご覧ください

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