振動障害とは加工や検査、測定などを行う際に振動が原因で生じる問題のことを指します。振動障害は加工精度や品質、検査結果に大きな影響を与えてしまうため、適正な除振・防振製品を選定・実装する必要があります。主な振動障害は次の通りです。
加工精度・品質 |
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検査・測定 |
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振動障害が発覚した場合、いつ、どのような問題が発生するのかといった不具合内容や、問題が起きている機器の振動源との関係、振動周波数などの確認を徹底して行います。また、障害の発生している装置と振動源のどちらを対策するかを検討しておきます。
不具合機器及び振動源については、機器の基本情報(メーカー・機器名・型名)、総重量、支持点の数・形状・レイアウト・荷重配分(重心)、移動荷重、荷重変動、回転数、振動数、振動対策の有無、揺れを嫌うか、減衰量、垂直/水平などを控えておくと良いです。
正しい除振・防振製品を選定するには「振動周波数」「荷重」「機能・形状」の3つのポイントに着目にします。
除振・防振製品の固有振動数は振動周波数の1/2以下を目安に、荷重は必ず許容荷重範囲内に納まるようにします。また、フット型・パッド型・組込み(マウント)型・除振台型という様々な種類の機能・形状から最適な製品を選びます。
ここではコンプレッサーの防振対策を例に除振・防振製品の選定方法をご紹介します。
1.まず製品の形状を決めます。今回の例では「フット型」を検討しているとします。
ポンプ回転数 | 例)2400rpm |
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本体重量 | 例)1000N(約100kg) |
脚数 | 例)4本 |
2.計算式を用いて「振動周波数」「荷重」を導き出し、選定の基準とする数値を把握します。
使用する除振・防振製品の共振周波数(または固有振動数)は、除振・防振したい振動周波数の1/2以下が目安になりますので、40Hz/2=20Hz以下で荷重250N(0.25kN)に適応したものを選定すればよいということになります。
3.「仕様 - 価格表」や「共振周波数を表したグラフ(特性データ)」から許容荷重(kN)が250N(0.25kN)に適応し、且つ共振周波数(または固有振動数)が20Hz以下の製品を探します。
次の表の場合、枠で囲まれた箇所が適応していることがわかります。
特に以下のように重心が高い装置の場合は、装置の倒れ・揺れが大きくなり、障害となる場合があります。重心が低い位置になるように除振台を利用する方法があります。
荷重が軽すぎるとせっかくの除振・防振製品の性能が発揮できません。次のグラフの実線から点線の波形のように共振周波数が 高周波側にずれてしまい、振動が増えてしまう場合があります。また、ばねに与圧がかかっていて、適正な荷重がかからないと全く機能しない製品もございます。そのため必ず除振対象の荷重が「許容荷重範囲内」に納まるように除振・防振製品を選定してください。