治具ってすごい!アカデミー

第4回 治具構想のポイント(Z方向の位置決め)

「治具ってすごい!アカデミー」第4回では治具構想のポイントとなるZ方向の位置決めについて解説します。
安定した位置決めをするための考え方をきちんと身につけましょう。

安定した位置決め

位置決めが不安定になる要因は基準座の位置・高さのバラつきや、ワーク素材の基準面のバラつきなどがあります。
ワークに受けポイントの指示がない場合は、位置決めの3点で囲まれた面積をできるだけ大きくすることで安定した位置決めが可能になります。また、重心が三角形の中に入ると安定させることができます。
下図のように2点間の受けるポイントの距離が長い方が基準座高さのバラつきの影響を小さくすることが出来ます。

A:3点で囲まれた面積大=安定、B:3点で囲まれた面積小=不安定。2点間の受けるポイントの距離によりバラつき(ワークの傾き)A<B

位置決めの大きさ

基準受け座面が大きいと実際の基準ポイントとズレが生じて位置決めが不安定になります。安定した位置決めをするためには、面圧による圧痕に気を付けながら基準座とワークの接触面積をできる限り小さくすることが大切です。アルミ等の柔らかい材質の場合は、基準受け座面を大きくした方が圧痕が付きにくく、圧痕が問題にならないような鋳肌面には、点基準(SR)が適しています。しかし、高さ精度の測定が行いにくいため注意が必要です。

小さな基準受け座面
大きな基準受け座面

基準座の形状

基準座の形状はワーク受け面によって決まります。機械加工後などの滑らかな受け面には固定式、凹凸のある黒皮面には調整式が適しています。但し、ワーク受け面の位置が安定している黒皮面の場合、固定式の基準座と現合スペーサ(ハイトシリンダー等)の組合せにより、メンテンナンス性を向上させることもできます。(現合スペーサにより高さを調整します。基準座が摩耗や破損した際は市販の基準座のみを交換すれば良いので、安く・容易に入手ができます。)

固定式の基準座(摩耗をしたら定期交換)、現合スペーサ(ワーク受け面の位置に合わせて高さを現合調整)

位置決めの配置

【応用編】同じワークにおいて、A、Bどちらの受け方を選ぶ?

条件:どちらも3点を囲む面積は同じ
[1]ワークの厚みにバラつきがある場合。バラつきがある場所を確認し、基準座を配置する場所を検討してください。
[2]ワークの上面に加工負荷がかかる場合。基準座を配置する場所はワーク加工箇所や方向を考慮してください。基準座と加工箇所を近づけることで、加工部位に対するワーク剛性を上げることができ、加工精度の向上やビビリ対策にもつながります。

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