鋳物製定盤は、
1.用途にあわせて製作が可能
2.追加工・精度修復のしやすさ
3.反吸着が優れているのが特長です。
反面、温度変化の影響を受けやすいため、精密な測定を行う場合は、温度管理が行き届いた検査室でのご使用をお勧めします。
石製定盤は、
1.耐摩耗性が良い
2.耐食性が良い
3.傷による盛り上がりがないのが特徴です。
また温度変化の影響も受けにくい特性もあります。ただし、衝撃には脆いため、取扱いは慎重に行って下さい。
■定盤とは
一般的には機械部品の加工、組立ておよび検査における基準平面として用いられます。
形状は長方形または正方形の表面をもち、その平面は機械加工、きさげまたはラップ仕上によって正しい平面に仕上られています。
近年、その用途は車輌等の様々な試験に応じるべく多機能な要求が求められています。
■定盤の選定
定盤は使用目的や用途にあわせて様々な種類がございます。ここでは定盤を選定する上で押さえておきたいポイントを紹介します。
①目的・用途を確認する
まず最初に定盤を何に使用するのか目的や用途を明確にする必要がございます。
検査を行うのためか、測定や工作など汎用的な使い方をしたいのか明確にすることで定盤の選定ができます。
試験用 |
防振定盤・試験用定盤・レール型定盤 |
検査・測定用 |
JIS型精密検査用定盤・グラナイト精密石定盤・箱型定盤 |
工作・組立用 |
箱型定盤・工作用定盤・板金用タタキ定盤 |
②サイズを確認する
搭載物の寸法から必要な定盤のサイズを検討します。搭載物が大きい場合や大きな面積を有する場合は定盤を複数枚並べて使用することもご検討ください。
③許容荷重を確認する
搭載物の重量が定盤の許容荷重以内か確認ください。
許容荷重を超える場合は定盤のサイズを大きくし、より許容荷重が高い定盤を選定するなどご検討ください。
(カタログ上の許容荷重と耐荷重は同意語としています。また許容荷重は平面度を保証するものではございません。)
事前に搭載物の重量の把握が必要
④平面度を確認する
定盤の「平面度」は測定値の信用性に影響します。特に検査・測定用定盤の場合は平面度が目的の精度かどうか確認が必要です。
t = C 1 ℓ+ C 2
t :全面の平面度の許容差
ℓ:最も近い上の100mm に丸めた定盤の対角線の呼び長さ(mm)
C1・C2:定盤の等級に対する定数
定盤の等級 |
C1 |
C2 |
0 |
0.003 |
2.5 |
1 |
0.006 |
5 |
2 |
0.012 |
10 |
等級 |
JIS規格 |
|
0級 |
1級 |
2級 |
|
|
社内規格 |
00級 |
|
|
A級 |
B級 |
機械仕上 |
グラナイト精密石定盤 |
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
|
JIS 型精密検査用定盤 |
|
〇 |
〇 |
〇 |
|
|
箱型定盤 |
|
|
|
〇 |
〇 |
〇 |
参考:600X600 の平面度( μ m) |
2.5 |
5 |
10 |
21 |
42 |
66 |
※対角線の長さは、最も近い上の100mm に丸めた値。0・00級は0.5 μ m、1 級は1 μ m に近い方の値に丸めてあります。
●平面度
使用面を幾何学的に正しい平行二平面で挟んだとき、平行二平面の間隔が最小となる間隔の寸法で表す。(JIS B 7513)
平面度のイメージ
⑤材質から選ぶ
定盤は一般的に鋳鉄製と石製が多く用いられています。
鋳鉄製は落下などの衝撃に強いため、搭載物やジグの固定を行う、定盤の移動がある、搭載物を設置の際に強い衝撃が予想される場合におすすめです。
また、鋳鉄製は石製と比較し、安価に追加工することができます。
石製はより高い精度、耐摩耗性、温度変化の影響がされにくいなど測定作業に優れた定盤です。
ただし衝撃荷重に弱いため細心の注意が必要です。
各定盤の特長
|
鋳鉄製 |
石製 |
耐摩耗製 |
〇 |
◎ |
耐蝕性 |
△ |
◎ |
減衰性 |
〇 |
△ |
平面の修復性 |
〇 |
△ |
追加工性 |
◎ |
△ |
反吸着性 |
◎ |
〇 |
温度変化による影響されにくさ |
△ |
〇 |