治具選定のポイント

ガススプリングの選定

ガススプリングは、密閉されたチューブ内に高圧ガス(窒素ガス:不燃性)を封入してあり、このガスの反力をバネとして使用します。このガススプリングは小形でありながら大きな初期荷重で小さなバネ定数が得られますので、各種機械をはじめ、家具、自動車、OA機器等に広くご利用いただけます。

特長

●バネ定数が小さいため、広範囲のストロークでほぼ一定のバネ力が得られます。

●バネ定数とガス反力を広い範囲で設定することができます。

●小形・軽量です。

●作動がスムーズです。

●用途に応じた設計が可能なため、幅広い用途に対応できます。

バネ定数の比較

構造図

ガススプリングの選定について

ガススプリングの選定には、ガス反力、ストローク、最大長、取付位置などの諸元が必要になります。
その諸元によって扉などを開閉するのに必要な力(以下、操作力とします)が異なります。
選定にあたっては、「選定上の注意」、「使用上の注意」を十分お読みになってください。
ガススプリングを扉などに使用した時、軸方向以外の力を加えないでください。破損の原因になります。
基本的に2本1組で使用してください。
ガススプリングを取付けることで操作力が小さくなるということについて、モーメントの観点から説明いたします。

操作力とガス反力の関係

支点回りの扉自重モーメントMwは、Mw=W×L1 …(1)
ガススプリングのガス反力モーメントMgは、Mg=Fg×L2 …(2)
扉を開ける方向の操作力モーメントMhは、Mh=Fh×L3 …(3)
このとき、MwとMgの釣り合いにおいて、
Mw>Mg+Mh …(4) この場合、扉は閉まり、
Mw<Mg+Mh …(5) この場合、扉は開こうとします。
そして、Mw=Mg+Mh …(6)の場合、ガススプリングを取付けた
扉が、開閉せずにその場所で釣り合います。
以上より、想定した操作を扉に加えた場合、ガススプリングが必要
とするガス反力は、使用ガススプリングがn本のとき、
操作力とガス反力の関係
となります。

A. 選定の手順(簡易計算)

ガススプリングを取付ける構造物の仕様により、大まかな取付位置を決め、必要ストローク、最大長を求めます。そして、これに見合った製品を選定し、先に設定した取付位置にあてがってみて、選定した製品のガス反力が適当かどうか以下の手順にてチェックしてください。

1. 全開時

全開時にガススプリングの力で、扉を開いた状態で保持するためには、
Mw<Mg+Mh …(5)
となるように操作力を設定します。このときの操作力は、(7)より、
全開時
一般的には、この力が-2~-7kgf の範囲に入るようにします。この操作力Fh がプラスのとき、ガス反力だけでは扉の自重により閉まってしまいます。したがって、扉を開いた状態に保持するためには掛け金・ステーなどを必要とします。また、あまり操作力のマイナス値が大きいと閉めるときに大きな力を必要とします。

2. 全閉時

全開時と同様に、ガススプリングを取付けた状態の操作力は、
全閉時
一般的には、この力が2~7kgf の範囲に入るようにします。この操作力Fh がマイナスのとき、扉はガススプリングの力だけで開いてしまいます。これを防ぐには、掛け金、マグネットなどで扉を固定する必要があります。

3. 途中行程

ガススプリングと支点との距離およびガス反力が扉の開閉により変化していきますが、前述の全開時、全開時と計算方法は同じとなります。
一般的にこの途中行程で、支点回りの扉自重モーメントMw とガススプリングのガス反力モーメントMg の釣り合い操作力が0(零)となる点が存在します。
ただし、全開時と全閉時のどちらも操作力の符号が同じ(プラス、マイナス)である場合、釣り合う点がない事になります。

以上の計算結果が適当でないときは、取付位置や使用ガススプリングを変更するなどをして再度チェックを行ってください。

B. 選定の手順(自動計算)

取付角度フリータイプ(GSKF)用

選定プログラムに扉の位置や寸法等を入力することで、最適なガススプリングを絞り込むことができます。
希望の選定結果にならない場合は入力値を変更し調整してください。簡易動作寸法図により実際の位置関係を確認する事ができます。
対象は、取付角度フリータイプ(GSKF)のみです。

治具選定のポイント

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